僕たちの時間(とき)
*
「嘘だ……」
水月の話を全て聞き終え、僕は力なく呟いた。
「嘘なんかじゃないわ。私、ちゃんと最初から聞いていたんだもの、れっきとした事実よ」
青ざめる僕とは対照的に、水月は淡々としたものだった。
口許に、うっすら笑みさえも浮かべるほどに。
(信じらんねーよ……)
拳を握りしめながら、僕は歯を食い縛った。
そうしていないと涙がこぼれてきそうだったのだ。
(信じられるかよ、そんなこと! 水月が、あと半年しか生きられないなんて……手術しても無駄だなんて……! どうしてそんなこと、信じられるかっていうんだよ!!)
「まぁ、なっちゃったものは仕方が無いわよね。昔から身体が弱かったことも事実だし。でもそれにしたって、嫌な病気(モノ)に当たっちゃったものだわぁ」
悲愴な表情になっているだろう僕など気にも留めず、ケラケラと水月は笑いながらそう言う。
――何となく…、そんな水月がとても哀しく、僕には思えた。
それと同時に腹も立った。
けれど怒りの感情の方が強かった。その憤りが行き場もなく僕の中を渦巻く。
「ホントに私ったら、運が良いのか悪いのか……」
「――やめろよ……」
「え……?」
明るく振る舞う水月は、見ていてとても哀しかった。
それがとても腹立たしい。
「もぉ、やめろよ!」
気持ちが堰を切ったように溢れ出す。
言葉を1度口にしてしまったら、もう堪え切れなかった。
激情にかられるままに言っていた。
「どうしてそんなカオしてるんだよ……!」
「聡くん……?」
「どうして笑っていられるんだよ!」
「何、言って……」
「自分のことなのにっ…、どうしてそう平然としていられるんだよ!!」
「――――!?」
そこで水月が息を呑んだのがわかった。
でも、僕は自分を止められなかった。
「何とも思わないのか…? 悲しいとか、思ったりしてないのかよっ!!」
「――悲しいに決まってるじゃない……!!」
「嘘だ……」
水月の話を全て聞き終え、僕は力なく呟いた。
「嘘なんかじゃないわ。私、ちゃんと最初から聞いていたんだもの、れっきとした事実よ」
青ざめる僕とは対照的に、水月は淡々としたものだった。
口許に、うっすら笑みさえも浮かべるほどに。
(信じらんねーよ……)
拳を握りしめながら、僕は歯を食い縛った。
そうしていないと涙がこぼれてきそうだったのだ。
(信じられるかよ、そんなこと! 水月が、あと半年しか生きられないなんて……手術しても無駄だなんて……! どうしてそんなこと、信じられるかっていうんだよ!!)
「まぁ、なっちゃったものは仕方が無いわよね。昔から身体が弱かったことも事実だし。でもそれにしたって、嫌な病気(モノ)に当たっちゃったものだわぁ」
悲愴な表情になっているだろう僕など気にも留めず、ケラケラと水月は笑いながらそう言う。
――何となく…、そんな水月がとても哀しく、僕には思えた。
それと同時に腹も立った。
けれど怒りの感情の方が強かった。その憤りが行き場もなく僕の中を渦巻く。
「ホントに私ったら、運が良いのか悪いのか……」
「――やめろよ……」
「え……?」
明るく振る舞う水月は、見ていてとても哀しかった。
それがとても腹立たしい。
「もぉ、やめろよ!」
気持ちが堰を切ったように溢れ出す。
言葉を1度口にしてしまったら、もう堪え切れなかった。
激情にかられるままに言っていた。
「どうしてそんなカオしてるんだよ……!」
「聡くん……?」
「どうして笑っていられるんだよ!」
「何、言って……」
「自分のことなのにっ…、どうしてそう平然としていられるんだよ!!」
「――――!?」
そこで水月が息を呑んだのがわかった。
でも、僕は自分を止められなかった。
「何とも思わないのか…? 悲しいとか、思ったりしてないのかよっ!!」
「――悲しいに決まってるじゃない……!!」