僕たちの時間(とき)




「藤沢……」

「渡辺(わたなべ)くん…!? ――嘘…、どうして……?」

 その時、さぁっとあたたかい春風が流れ、花びらが舞い上がった。

 乱舞する花びらのヴェールの向こう、はらはらと涙を流す藤沢は、たとえようもないほどに美しく、そして儚く、今にも花びらと共にかき消えてしまいそうで……!


 ――僕は思わず、藤沢を抱きしめていた。
< 7 / 281 >

この作品をシェア

pagetop