僕たちの時間(とき)
8.PERSONA ――哀しい仮面
「みーいちゃんっ!」
にっこり笑いながら花束を抱えて、睦月が水月の病室にひょっこり顔を出したのは。
水月が聡に別れを告げた、その2日後のことだった。
「あら睦月」
水月もにっこりと満面の笑みで、妹を迎える。
「あ、お花持ってきてくれたの? 高かったでしょう、ありがとう」
「そんな、ヘーキだよっ」
微笑みを返して、睦月はしばし水月を見つめた。
チューリップの花束を抱きしめて目を細め、水月は心底から嬉しそうな様子に見える。
あたしに、気を遣っているのかな…と、睦月は思う。
そう思うほどに、水月が痛ましくなってくる。
(みぃちゃん……)
『みぃは、すごく傷ついてるのよ……』
満月の言葉が、耳の奥で甦る。
睦月が水月の病気を満月から知らされたのは、昨夜のことだった。
にっこり笑いながら花束を抱えて、睦月が水月の病室にひょっこり顔を出したのは。
水月が聡に別れを告げた、その2日後のことだった。
「あら睦月」
水月もにっこりと満面の笑みで、妹を迎える。
「あ、お花持ってきてくれたの? 高かったでしょう、ありがとう」
「そんな、ヘーキだよっ」
微笑みを返して、睦月はしばし水月を見つめた。
チューリップの花束を抱きしめて目を細め、水月は心底から嬉しそうな様子に見える。
あたしに、気を遣っているのかな…と、睦月は思う。
そう思うほどに、水月が痛ましくなってくる。
(みぃちゃん……)
『みぃは、すごく傷ついてるのよ……』
満月の言葉が、耳の奥で甦る。
睦月が水月の病気を満月から知らされたのは、昨夜のことだった。