僕たちの時間(とき)
9.BLUE HEARTS ――それぞれの思惑
「この間、サト坊が来た」
そんなおやじさんの唐突な言葉に、光流はただ、何も言わずに微笑んだ。
「知ってたのか?」
「いいえ……ただ何となく、ここかなと……」
「今日、サト坊は?」
「来てますよ。中で別れてきたんです。おやじさんと、話がしたいからって」
「同感、だな」
光流は、聡と一緒に《アムネジア》に来ていた。
聡が《B・ハーツ》のライブがあるからと、光流を誘ったのだ。
そして今。おやじさんと事務室でソファに座り、向かい合っていた。
誰も他に入ってくる様子はない。
光流がやおら口を開いた。
「飲ませましたね?」
「いや、自分から飲んでボトル半分ほどカラにしていった。…まぁ、何だかんだ言っても、あいつは酒に強いからな。吐くどころか、コテッと眠っちまいやんの」
「どうりで…次の日練習、来ないはずですよ。まったく、あいつらしいな」
「“自分から”…ってのを、除けばな」
「ええ、確かに……」
「――なぁ、光流? おまえ、今の状態をどう思う?」
「聡の…ですか……?」
「いや。《ウォーター・ムーン》の話だ」
「…………?」
いきなり話題がフッ飛び、何のことかわからず、光流はおやじさんを見つめた。
「この間…あの坊主が来た時に、言っとこうと思ってたことが、あったんだがな……」
「言えませんよね……あんな様子じゃ……」
「あぁ……」
「それが《ウォーター・ムーン》関係のことだったんですか?」
「まぁ、そういうこった」
そこでおやじさんは言葉を止め、煙草に火を点けて一服した。
そして、おもむろに光流に問う。
「サトシの唄、どう思う?」
そんなおやじさんの唐突な言葉に、光流はただ、何も言わずに微笑んだ。
「知ってたのか?」
「いいえ……ただ何となく、ここかなと……」
「今日、サト坊は?」
「来てますよ。中で別れてきたんです。おやじさんと、話がしたいからって」
「同感、だな」
光流は、聡と一緒に《アムネジア》に来ていた。
聡が《B・ハーツ》のライブがあるからと、光流を誘ったのだ。
そして今。おやじさんと事務室でソファに座り、向かい合っていた。
誰も他に入ってくる様子はない。
光流がやおら口を開いた。
「飲ませましたね?」
「いや、自分から飲んでボトル半分ほどカラにしていった。…まぁ、何だかんだ言っても、あいつは酒に強いからな。吐くどころか、コテッと眠っちまいやんの」
「どうりで…次の日練習、来ないはずですよ。まったく、あいつらしいな」
「“自分から”…ってのを、除けばな」
「ええ、確かに……」
「――なぁ、光流? おまえ、今の状態をどう思う?」
「聡の…ですか……?」
「いや。《ウォーター・ムーン》の話だ」
「…………?」
いきなり話題がフッ飛び、何のことかわからず、光流はおやじさんを見つめた。
「この間…あの坊主が来た時に、言っとこうと思ってたことが、あったんだがな……」
「言えませんよね……あんな様子じゃ……」
「あぁ……」
「それが《ウォーター・ムーン》関係のことだったんですか?」
「まぁ、そういうこった」
そこでおやじさんは言葉を止め、煙草に火を点けて一服した。
そして、おもむろに光流に問う。
「サトシの唄、どう思う?」