さいごのあいらぶゆう


ガラスのドアが
開く音がして
焦ってお湯をすくい
顔にかけた




「 さやか? 」


震える声をなんとか
こらえながら返事をした



「 ん? 起きた ?」


「 目覚めて寝返りうったら
布団冷たくて
おかしーなって起きたら
さやか居ないから焦った」


「 ごめんごめん 」


「 いやいいんだけどさ
俺も風呂入るわ 」



そう言って
服を脱ぎ 横で
シャワーを浴び始めた







左の手の甲にある
鯉の入れ墨


腰にある擦り傷




そんな小さな事も
愛しいと思うのに、





「 よいしょー 」


と 私の向かい側に入り
向かい合わせになった



「 は ? どうした?」


気づくと涙は溢れてた


「 ううん 」

「え? まぢどうした 」



びっくりした様な声から
ワントーン下がった声で
頭を撫でてきた



「 なんもなぃ、 」

微笑んでみても見破られてしまう


「 なんもなくないしょ 」

「なんもなぃ、なんもなぃ、」


耐え切れずに抱き着いた



「 どしたんだよー‥
俺寝てる間に何あった?」

「 だいじょーぶ 」

「 としや? れん?
ともなちゃん?」



ともきが知る限りの名前を
出してきた




ううん 違うよ
不安になっただけ


その一言が出て来ない



「 ともき好きだよ 」

「 うん? 俺もだよ?」


そう言ってともきは
体を話して
両手で顔を包む


「 本当になんもない? 」

「 ないよ〜だいじょーぶ」

「 なんかあったら
ちゃんと言って?
俺だって心配ぐらいするから 」

「 うん ごめんね 」




ちゅ



「 とりあえず今はもうなんも聞かない! 」



そう言ってキスをした後に 頭をぽんぽんしてくれた



「 てか温くなってきたから出よう 」



そう言って私の手を引いて
風呂場から出て
バスタオルで
包んでくれる




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