雪の雫に濡れた夜
言いかけて気付く、
彼の黒いコートの中に、鈍く光る、銃。
『聞いたか?この街に中央都(セントラル)の公安局で、
手配中のヤツが逃げ込んでるって話、』
『らしいな、1年前から手配中で、見つかってなかったヤツだろ?
何でも公安の情報を裏に流してた、裏切り者らしいじゃないか』
思い出す、流れ移りゆく、街の噂話。
なんで…
なんで、こんな時に思い出すのよ?
私は、震える掌で、
斗哉の冷たい手を握りしめた。