雪の雫に濡れた夜
カララン
《スピカ》の扉が開く音が聞こえ、
「すみません、まだ、準備中ー…」
慎の声が止まる。
「ほら、シュイ。待ち人来たる、だ」
ポンポンと、慎がカウンターに頭を乗せている私の肩を叩く。
顔を上げると、
「斗哉!」
思わず、椅子から立ち上がる。
「何でっ…、傷は?まだ寝てないと…」
斗哉を見上げ、腕の様子と顔色を確かめる。
そんな私を、斗哉は引き寄せ、髪に触れ、
「シュイの歌を聴きにきた」
耳元で囁く。