雪の雫に濡れた夜
街のざわめき
*
「あれ?…どうした、シュイ。随分早い出勤だな」
裏口から現れた私を見つけ、慎が声をかけてきた。
「うん、たまには開店前の準備も手伝おうと思って、」
いつもと違う、ラフなラベンダー色のニットにジーンズ姿の私は、長い髪を結い上げた。
「そりゃ助かるけど、いいのか?夜も忙しいぞ」
「いーの、斗哉は仕事でいないし、一人で部屋にいてもつまらないから」
「理由がそれかよ、」
呆れた様に、慎が呟く。
一人であの部屋にいると、
色々考えてしまいそうで…
こわい