雪の雫に濡れた夜
終章
紅い雪
*
人の波の中に、見慣れた背中。
見つけて、走る。
彼の元へ
と、そのときー、
視界の端に、鈍く光るものー
銃口が、斗哉を狙っていた。
「やっ…」
悲鳴にも似た声が零れる。
私は、駆け出していた。
銃口を向けられた、斗哉の前にー…
例え、
裏切り者として、追われていても、
斗哉の一部しか知らなかったとしても、
それでも
あなたを失いたくない、
ただ、それだけ