雪の雫に濡れた夜
 どうかな…

「…よく分からない」

グラスの林檎酒を全部飲み干し、ふぅ、とため息をついてしまう。


「いまだに仕事、何してるか、知らないし。聞くとはぐらかされる。『当てたら、ご褒美やるよ』って」

「あいつの仕事、ね。そういや、オレも知らないな」
「知らないの?」
「ああ、10歳から今まで、18年の付き合いだが、知らん」

「18年の付き合いで知らないんじゃ、1年の私が聞出せるワケないじゃない…」
 
 はぁー、と深いため息をついてしまう。

「謎の多いヤツだからな。自分の事、あまり話さないし」

「つきあう前は、会えただけで、言葉を交わすだけで、嬉しかったのに…」

 
 人は、なんて欲ばり


 あの頃の方が、彼は遠かったのに、

 視線は、心は、
 今より重なっていた様な気がするー。
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