雪の雫に濡れた夜
二人の距離
「なんかあったのか?」
私のアパートで、遅い夕飯のシチューを食べ終えると、
斗哉が煙草に火を付けながら、こちらを向く。
「なにか、って?」
「慎が言ってたろ、思い悩んでるって、」
「ーあぁ…、そう言えば、噂がね、」
「噂?」
「斗哉、聞いた?保安局の裏切り者がこの街に来てるって噂」
ワザと、話をそらす
「ん?…あぁ、そんな話があるな」
「本当かな?」
「さあ?どうかな」
「本当だったら、怖いかも」
「この街では珍しい事じゃないだろ?」
「それは、そうだけどー」