キミが好きなのに
それにしても……。
私が由菜として橘くんの隣を歩いてるなんて不思議な感じ。
チラッと見上げると、橘くんが私に微笑んできたのでびっくりした。
実際は“私”にじゃなくて“由菜”にだけど。
それでも、ドキドキするのは変わらない。
「由菜その服カワイイな!」
「え!?あ、ありがとう……」
突然、洋服を誉めた声に驚いて照れてしまった。
「照れてんの?由菜らしくねーな」
でも。
由菜って言われるのは、やっぱり慣れない。
それに、橘くんを騙してるみたいで悪い気持ちになる。