紅い煙草と鉱石人形

第二章

サクラ模様

「おきゃくさまは、こちらにどーぞ」

心なしか、少女はハシャイでいるようだった。
　

紫苑を二階の角部屋に招き、自分の背よりも大きな椅子を引きずる様に持って来ると、座る様に促した。


紫苑は少女の一連の動作を見る。

どこから見ても、普通の７、８歳の女の子の様に見えた。


（この少女がウワサの鉱石人形、か？）
　

確かめるにも、ここでは術がなかった。


鉱石人形は一見、人との区別は難しい。

動力である鉱石の埋め込まれた左胸に、センツァー社の刻印がされているくらいで、


（―といって、ここじゃあなぁ…）


間違えば、ただの変態になってしまう…。
　
疑問が駆け巡りながらも、紫苑は屋敷の扉から入る時同様、辺りの気配を探る。