紅い煙草と鉱石人形
「裏情報、ね。そう言って、何度公安にいいように使われた事か」
呆れた様な口調で、紅い煙草が答える。
「あら、人聞きの悪い。たまたま公安が最後に現れるだけなのに」
「よくいうよ」
紅い煙草は疑り深かった。燻る煙は動じる事無く夜空へと舞い、上がる。
「…センツァー社の元研究員が新しい型の鉱石人形を完成させたらしいわ。ーで、その鉱石人形を回収してほしいんだけどー」
ガタン
言い終わるが速いか、露花の頭上で物音がすると、月明かりを遮る様に黒い外套の男が、
ひらり、と、姿を現した。
スタンッー
軽やかな身のこなしで、紫苑は露花の隣に降り立った。長身の姿、歳の頃は20代前半。
綺麗な横顔が月明かりに照らし出され、露花は言葉を失う。