紅い煙草と鉱石人形
「渡しはしないぞ…サクラは…サクラは、私のものだ!」

鬼気とした表情で、橘はサクラを抱える手に力が入る。


「モノ…、やはり、そうか。その娘が、ウワサの鉱石人形なんだな」


謎の欠片が次々と埋まる様に、紫苑の推測が確かなものとなって行く。

自信に満ち、鋭さを増す紫苑の眼に射抜かれ、橘の表情は青褪め、サクラを抱える手が小刻みに震える。


「…違う、サクラは私の娘だ…。ずっと、ずっとー、私のそばにいる、娘―。もう二度と私を遺して逝ったりしない、そうだ。そのために私は―…」

「パパっ、どうしたの?ねえ、パパ!」


ただならぬ雰囲気にサクラは戸惑い、不安そうに呼びかける。

そう、父親を案ずる娘の様にー



その様に、紫苑は思わず目を細める。


「本当に素晴らしい出来だな、」






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