紅い煙草と鉱石人形
「サ、くら…」

何かに呼ばれたかの様に、橘は顔上げ、ふらりと立ち上がった。


「よし、そのままこっちへー…、おい橘、何処行く!?そっちじゃない」
 
紫苑が招く方とは逆へ、橘は歩き出す。廊下に繋がる扉を開けようとする橘の腕を、紫苑は引き戻し、


「橘!そっちは駄目だ、すぐ近くまで[白い闇]が来てるー」

近づきつつある殺気に、紫苑は焦った。


 次の瞬間―


ガガガ―ッ


 激しい音と共に、サクラの扉は木っ端微塵に吹き飛んだ。


([白い闇]―!)


 そう思うと同時に、紫苑は後ろ腰の銃を素早く抜き、口で銃の安全ロックを外す。



 紅い煙草が、大理石の床に落ちた。




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