紅い煙草と鉱石人形
部屋中に舞い上がった煙で隠れるよう、紫苑は橘とサクラを連れ、露台の方へー
「へぇー、誰かと思ったら、紫苑じゃないか」
吹き飛んだ扉の向こう、煙の中から一人の少年が現れる。
(セイ!?―チッ、面倒なのが来たな)
現れた少年、セイから紫苑達は見えない所にいたが、セイは紫苑の存在を確信していた。
「隠れたってムダだよ。この匂い、間違えるワケがない」
自信に満ちた眼が、床に落ちている紅い煙草を捉えると、セイは微笑を浮かべる。
ホラ、やっぱりだ。と嬉しそうに呟いた。