紅い煙草と鉱石人形
「お前の感情なんかオレに関係ない。失せろ」
「こわー。恐いけど相変わらずイイ男だね、紫苑。…ま、いいか。紫苑相手で、怪我したくないし。怪我させたくないし」
「…お前は変わらずヘンタイだな。さっさと消えろ」
「いいけど、このおじさんだけは貰ってくよ。」
「―どうやら、相手してほしいようだな。 」
「このおじさん位いいじゃないか。そっちと違って、無傷で渡さなきゃいけないんだし」
あーツマンナイ。と投げやりに は空を仰ぐ。
(こっちと違って?)
紫苑は腕に抱えるサクラを見る。今までの状況にすっかり怯えたサクラは、涙ぐんでいた。
「その人形、壊さないと賞金貰えないよ」
紫苑の頭上から、声がした。
見上げると、氷の様な刃が紫苑を捉えていた。
「サクラ!」
ガガガッー
橘の叫び声とともに、幾つもの氷の刃が紫苑に向かって来る。