紅い煙草と鉱石人形
チ、と軽く舌打ちし、紫苑はサクラを庇う様に庭の茂みに飛び込んだ。


「避けないでよ、紫苑。ちゃんと人形に当てるからさ」

「ふざけるな、セイ。サクラは無傷のまま渡す」

「渡すって、手配したセンツァー社に?どうせすぐ処分されるよ。そう手配書に書いてあったんだから。だったら、僕がちゃんと壊してあげるよ 」
 

疑問に感じていた欠片がカタチを成してゆく。



ようするに、センツァー社は処分するためにサクラ回収を露花に依頼したが、しびれを切らし、手配書の手段に出たということだ。

 そこまでして、センツァー社は橘を取り戻したがっていた。
 その技術力を。


だから、橘の心を縛る、娘の姿をしたサクラの存在が、邪魔だったのだ。


例え、サクラが素晴らしい出来の鉱石人形だとしても、また、創ればいいだけの事。
 


 それが創られた存在であるという事だ。




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