紅い煙草と鉱石人形
「パパ…?」
露台から胸を紅く染めた橘が、二人の目の前に落ちてくる。
その口元が僅かに動ている様に見えた。何かを伝えようとー
「パパーッ!!」
泣き叫び、橘に駆け寄ろうとするサクラ。紫苑は行かせまいとサクラを力強く抱きかかえる。
と、その時、聞き覚えのある警報音(サイレン)が聴こえた。
「チッ、公安が嗅ぎ付けたか」
苛立たしそうに舌打ちすると、セイは屋敷から姿を消した。
次はもっと楽しもうね、紫苑。―そう言い残し。