紅い煙草と鉱石人形
朝露の中
「ここか?」
紫苑は露花の示す目の前に広がる広大な屋敷を前に、タジログ事なく淡々と周りの様子を伺った。
「そう、元センツァー社研究員、橘貴史[タチバナタカシ]の研究室兼自宅よ」
「随分な豪邸だな。」
「橘は鉱石人形開発の第一人者。5年前までセンツァー社の鉱石人形の開発研究に携わっていたらしいわ。それが急に社を辞め、この屋敷に籠るようになったとか」
「5年前、何が遇った?」
「ーさあ、センツァー社自体謎が多くて、公安も情報の少なさに嘆いてるわ。裏(そっち)の方が詳しいかと思ったんだけど?」