2人で

変化


休み時間終了のチャイムが鳴ると同時に、拓也が教室に帰ってきた。 

「拓也どこ行ってたの?」

「隣のクラス」


拓也は席に着いてから、そう言うとため息を吐いた。 

何かあったのかな。


「隣のクラスって、竜司君?」


「そうだよ」


拓也が不機嫌そうだったので、少し心配になった。


「ケンカでもしたの?」

「お前に関係ないだろ」


即答で答えが返ってきた。
しかも、何だか怒ってるみたいだし・・。

最近の拓也は、私が心配するとすごく嫌がる。

反抗期ってやつかな?

ともかく、これ以上詮索すると余計に機嫌が悪くなるのでそっとしておこう・・。


私は、「そうだね」とだけ言って拓也の前である自分の席に着いた。

先生が教室に入ってきて、授業が始まる。


「・・・・・・ゆい」


「なに?」


しばらくして、後ろから声をかけられたので返事をした。


「こっち向けよ」

「今授業中だもん」


「・・・・・・竜司と喋ったことある?」


「竜司君?」


いきなり何だろう?

竜司君のことは拓也がよく話すので知っているだけで、お互い話したことなんかない。


「ないよ。何で?」


「だよな。・・・何か竜司がお前のこと気になってるっぽいからさ」


・・何で私?

竜司君には女関係ではあまり良くない噂が回ってる。
さらに、その対象は大抵年上の女の人だし。

話したこともない私のことを、気になることなんてあるのかな?

・・・拓也、からかわれてるのかも。

「・・そうなんだ」


「そうなんだ、って・・。それだけかよ」


「だって竜司君とは話したこともないし。何とも言えないよ」


「・・じゃあさ、竜司に告白されたらどうすんだよ」

「こ、告白?されないから」

少し胸が鳴った。


「もしもだよ。どうするんだよ?」


何でこんなこと聞くんだろう。

そう聞いてしまったら、なぜか拓也が怒る気がするので私は黙っていた。


< 11 / 26 >

この作品をシェア

pagetop