2人で

ゆいから遠ざかること半年。

最近ゆいが俺を意識し出した気がする。

勿論思い込みとかじゃない。

ゆいと距離を置いてからは、あいつは今まで以上に俺に構ってきた。

でも1ヶ月後くらいには、全く喋り掛けて来なくなった。

その時点で、もう俺の恋は終わった上に幼なじみの絆もなくなってしまったと思ったが、どうしても諦め切れなかった。

だからもう少し様子を見ようと思い、それから3ヶ月ぐらい辛抱したのだ。



「おい。拓也」

「・・・竜司?」

コンビニで雑誌を立ち読みしていたら、後ろから声を掛けられた。

竜司には久しぶりに会った気がする。

ゆいのことが気になるらしい発言を聞いてからは、竜司はしばらく学校を休んでいた。

連絡も寄越さないもんだから正直心配していたのだ。

「竜司、お前何してたんだよ」

「いきなりかよ。まぁ、しばらく学校休んでたし当然か」

竜司は苦笑いしていたが、俺は竜司の頬が少し腫れていることに気が付いた。

「・・・お前、殴られたのか?」

すると、竜司は何故か嬉しそうな表情になる。

・・・こいつ頭どうかしたんじゃないのか。

つい冷めた目をしてしまう。

「んな目で見んなよ」

「・・女に殴られたのが嬉しいのか?」

「嬉しくねえよ。つか殴ぐったのお前の幼なじみだし」

・・・・・・。


「・・はぁ?何でゆいがお前を殴るんだよ」

まさか、ゆいに何かしたんじゃないか・・?

もしそうなら友達の縁を切ってやる。

「お前・・・」

「あ、別に変なことしてないぜ?」

「じゃあ何したんだよ。あいつは意味もなく殴るような奴じゃない」


竜司はニヤリと笑う。


「俺にも分からないな。急に俺の家に来て、“拓哉を変な遊びに付き合わせないで!”って言いながら殴られたんだ」


・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・変な・・遊び?

見に覚えがない・・。

俺がゆいと距離を置いていた間、何かあったのか?

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