2人で
「あいつ、わざわざ俺のクラスの担任に家聞いて来たんだってよ」

「・・・」

誰からそんなこと聞いたんだ?

第一、俺は竜司としばらく会ってないし変な遊びに付き合ってるなんてことはない。

少ししてからハッとなる。
「まさか俺に変な噂が流れてるんじゃ・・」

「そのまさかだと思うぜ。まぁ俺もだけどな」

竜司は困ったな、という風に肩を竦める。

しかし口角が上がってるのを見ると、困ってる風には見えない。

「お前、何があったのか知ってるのかよ」

一体どんな噂が流れているのか気になる。

「拓哉とゆいが絶交して、俺と怪しい関係になってる、とか」

「はぁ!??」

怪しい関係って何だよ!!

「それは一部の噂だけどな。一番出回ってるのは、俺が拓哉をクラブに連れてって、一緒に女漁りしてるらしいって噂」

「女漁り・・・」

唖然とした。

「後はお前に彼女が出来たらしいって噂もあるしな」
竜司はニヤニヤ笑いながら続ける。

「多分ゆいが聞いたのは、クラブで女漁りの噂だろ。災難だな」

俺は竜司の話を聞きながら、ゆいのことを考えた。

きっと軽蔑しただろうと。そう思った。

「お前、最近ゆいと全く話さないらしいな。絶交したのかよ」 

絶交はしていない。
俺がゆいから遠ざかっただけ。
それだけでこんな噂が立った。
もうチャンスはないのかもしれない。
そう思って、俺は俯いてしまった。

竜司はそんな俺もお構い無しに話す。

「拓哉のクラブ遊びにゆいが愛想を尽かせて、幼なじみの縁も切ったって学校の奴から聞いたけど」

愛想を尽かせて・・。
俺に対して過保護だったゆいが、そんな簡単に愛想を尽かしてしまうのだろうか。
それを確かめたいけど、ゆいの反応が怖い。
もし、冷たくあしらわれたら泣きたくなるだろう。


「でもあいつ、お前のこと好きだろうな」

「・・!?」

沈んでいた俺の心は、竜司の言葉を聞いて衝撃を受けた。


< 15 / 26 >

この作品をシェア

pagetop