2人で
「せっかくだから、どっかでメシ食べに行こうぜ。
この間いい店見つけたんだよ」
「行かない。今からゆいに会いに行くって言ってんだろ」
「んだよ。友達より女取るのか?」
久しぶりに竜司に会ったので、コンビニでゆいの話を聞いてからその後、竜司の家に行っていた。
ついゲームに熱中してしまい、気付いたらもう夜。
ゆいのことが気になっていたので、ゆいの家に寄ろうと考えていたが、竜司が夕飯のことで、さっきからしつこかった。
「さっきのゆいの話聞いたら、気になって仕方ないんだって」
「だからって今行かなくてもいいだろ。明日にしろよ」
竜司は一度決めたことは絶対に曲げない性格なので、こうなったら諦めるしかなかった。
「はぁ・・。しょうがないな。分かったよ」
溜め息を吐きつつ承諾した。
「おぅ。悪いな」
「そう思うなら強引に誘うなよな」
「俺、欲望に忠実だから」
「自由人だな・・・」
だが、そんな竜司を羨ましく思う。
人に流されやすいタイプである俺には、欲望に忠実に生きるなんて無理だろうから。
「で、どこにあるんだ?そのいい店って」
「駅前。最近新しく出来た定食屋でさ、この間香奈さんと行ったんだけど、まじで美味しかったんだ。家庭の味ってやつでさ・・」
本当に美味しかったようで、竜司は思い出しながらしまりのない表情を浮かべていた。
「へぇ・・。お前ん家冷凍食品多いもんな。たまには自炊しろよ」
やっぱりそういった味が恋しくなったりするんだな。
敢えて香奈さんの存在には触れないでおいた。
「んー。面倒だな。てかそろそろ行こうぜ」