世界はミューズ
そうか、だから芸術が必要なのかもしれない。とふと思う。
描くとか描かないとかから一歩引いたような冷めた頭だった。

見るだけ考えるだけで小学生の男の子みたいに目を輝かせられるような。

日常にも製作にも辟易とした私にも必要なのかもしれない。
美しさに突き動かされて夢中になってしまうような劇的なもの。

勘定をきちんと自分の分だけ払い、地下のカラオケボックスから出てくると風が鼻の奥に染みた。
秋の匂いだ。
ズンと気分が暗くなる。

(…受験はおろか、卒業できなかったら、どうするんだろ?私)
< 17 / 19 >

この作品をシェア

pagetop