世界はミューズ
「腹を決めろって言ってるんだ。」

教師はまた同じことを言った。もう高三の秋なんだぞ。

知ってるよ。

うんざりしながら私はここ数日の自分の考えに思いを巡らす。
何を考えていたのだっけ?
何を目指していた?
しかし何も見つからずに思考は進路指導室に戻る。

こちらを見ている教師の丸い魚のような目に吐き気を感じてがっくりと俯いた。

芸術家なんて、この世に最も必要のないものではないですか。と言おうとしてぐっと飲み込む。
これ以上説教されたくなかった。

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