二人の秘密
初めての秘密

出会い


「ごめん別れよう。」
「分かったよ。」
私は表情一つ変えずに淡々とそう呟く。
「は?そんな簡単なもん??」
「だって私 あんたのこと好きじゃないし。」
そう。私はいつでも……
「最低だな」
いつでも人を本気で好きになったことがない。去ってゆく背中を見つめ一言零した。
「どうしたら好きになれるのよ……」
分からない。好きも愛してるも。今まで一度だって好きになることなんてなかった。そう。あの人に出会うまでは。
「莉子??どこ行ってたの?」
教室に帰った私に一番に声をかけてきたのは、親友の百合。百合は可愛くて背が高い私の大親友。そして私の名前は山下莉子。背はまあ小さめ。(本当はかなり)顔は人から見たら可愛いらしい。自分では少しも思わないけど。
「またフラれてしまった。」とため息混じりに言うと百合の後ろの席に座る。
「まあたあ!?!」
あちゃーと言いながら頬杖をつく百合に何だか泣きたくなる。
「何で好きになれんのかなァ………」
私はずっとずっと、人を好きになりたくて、でもなれなくて。付き合っては別れての繰り返し。私だって好きでこんな軽い女みたいになってるわけじゃない。好きになりたい。一生に一度の大恋愛がしてみたいだけ。
「……莉子」
半泣きな私に頭を撫でてくれる百合に更に涙が溢れた。
< 1 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop