二人の秘密


「ホントにごめんな……俺志緒の事好きじゃなかったんだ。」

「――え」


好きじゃなかった……?

「だから…………上手く愛せなかった。まあ、志緒も俺じゃない奴が好きだったけどな。」


そういえば。
涼ちゃん前、人を信じれないって言ってた。

私は困ったように眉を下げて笑う涼ちゃんの腕を掴む。


「ごめんなさい。本当は怒ってなんかないよ……」



ちょっと調子に乗りすぎたよね。

私 無神経な事したよね。
馬鹿だな。

「莉子……?」


急に暗くなる私を心配したように覗き込む。


「ごめッ……………」


“ごめんなさい”
そう言おうとしたのに。
俯く私に涼ちゃんは少しかがんで…………優しくキスをした。


ホントに優しく包み込むように。

ゆっくり重なった。


「え……あ……」


私は初めて重なった唇に動揺を隠しきれずにいた。


「かわい……」


ボソッと
呟くように。

私を見つめたまま。

そんな事言うから。

私は真っ赤になってしまう。


「馬鹿涼ちゃん…」

ちらっと涼ちゃんを見上げると ほんのり顔を赤くして私を見たまま呆然とする涼ちゃんがいた。

恥ずかしそうにそっぽを向くと「反則……」と呟いた。


「?」


私は訳が分からず頭に?マークをいっぱい浮かせた。


「しかも無自覚だしね…」
「???」
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