二人の秘密
その声につられて窓の外に目をやると。
「―――あ」
白い羽のようなものが空からふわふわ降ってくる。
夜空に映える白はそれはとても綺麗で私は声にならない感動に浸っていた。
「「雪だ………」」
私達は重なった声に顔を見合わせる。
「はは ハモった!」
そう言って子供みたいに。無邪気に笑いかける貴方に。
私はある人を重ねた。
『莉子!』
『大きくなったら結婚しよう。』
胸の奥にしまったはずのあの人がまだ私の心を掻き乱す。
「莉子…?」
急に曇った私の表情に涼ちゃんは心配していた。
そんな涼ちゃんに私は笑いかけると、「大丈夫」とだけ言って涼ちゃんの手を握った。
もう忘れたかったのに。
まだ私の心の中に生きている貴方。
忘れてはいけないことも分かってはいるのに。
心がそれを拒否していた。
私の中の貴方はあの頃で止まったまま。
いつまでも鮮明に甦る。
あの無邪気な笑顔の貴方のまま…………、私の心に残っている………。