二人の秘密
「きもちー!!!」
風を切って走り抜ける坂を。
心地良く感じていた時。
「莉子?あんさあ……」
ちょっと戸惑う様に私に話しかけた。
坂を下りたらすぐに信号がある。
「俺、莉子のこと好きだわ」
何の前触れも無かったんだ。
本当に。
貴方が優しく振り返って。
あの笑顔で笑って。
私を真っすぐに見つめてた。
信号がチカチカして。
ゆっくり止まった自転車。
「……え」
私は湊の言った言葉が理解出来なくて。
ただ時間が止まったような……そんな感じだった。
その時。
「危ない!!!!」
ほんの一瞬だった。
本当に。
貴方が私に告白したのと同じくらい。
本当に……………。
曲がりきれなかったトラックが。
倒れてきて。
その瞬間私を強い力が押して…
湊だけ。
トラックの黒い影に飲み込まれた。
「湊!!!!!!!!」
ずっと続くと思ってた。
「湊っ!!!嫌ッ嫌あぁああ!!!!!」
見えなくなった湊を必死に呼んで。
倒れたトラックの下から伸びた手を握って。
「嫌あぁああ!!!湊!!!誰か!!!?」
どうして……………?
その言葉だけが頭をぐるぐる回って。
湊のはにかんだ笑顔だけが私の頭に焼き付いていた……………………。