二人の秘密


薄暗い廊下。

そこには私の啜り泣く声しか響いていなかった。



『俺、莉子のこと好きだわ』


無邪気な笑顔が私を更に苦しくさせる。

ほんの数時間前まで温かかった貴方は。
信じられない程冷たかった。


『残念ですが………』

そう言った医師の顔と。それを聞いて泣き崩れたおばさんが。

ずっと私の頭に繰り返し映し出されていた。


『湊おぉッッああぁあ!!!!』

静かな音楽が流れるその部屋で湊は死んだ。

私が握っていた手は温もりを感じる事は出来ず、無邪気に笑っていたあの顔は静かに目を閉じていた。



『何でッどうして湊なのッ!?!?!!!』


おばさんがそう叫んだ瞬間。私は胸がひどく痛んだ。

私のせいだから。

私を守ったせいで湊が死んだから。


私は泣く事もできずただその場に力無く座りこんだ。

馬鹿な湊。

私なんかを助けて自分が死んで。

言い逃げして。

わたしは
どうしたらいいのよ………


湊がいなくなったら私毎朝寝坊して学校間に合わないよ?

私自転車漕ぐの下手だよ。



ねえ湊……?


答えてよ……
嘘だって言ってよ……

もう一度笑ってよ……

ねえ……湊………
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