二人の秘密


何度問い掛けても湊が答える事は無かった。


おばさんはただ湊の手を握って泣いていた。

おじさんは信じられないと言った顔でただ立ち尽くしていた。


康介は静かに泣いていた。

私は泣く事も出来ずその状況を理解する事も出来ず。 ただ座り込んでいる事しか出来なかった。



湊はいつものように私を迎えに来ていたんだよ?

ただいつもと同じ用に学校に行ってたんだよ?

私を後ろに乗せて、いつものように微笑んで……


死んだ………?

嘘だよね…?

湊……………?


私は力無く立ち上がると部屋を出た。

そしたら夢が覚めるんじゃないかなって。
微かな期待を抱いて。

でもどんなに頬を抓っても目は覚めない。

いくら泣きじゃくっても誰も私を起こしてはくれない。



「湊……」

私は病院中を歩き回った。
どこ……?

湊はどこにいるの…?


私はまるで泣く事を忘れたように。
ただ歩いていた。

すれ違う人は皆他人。
湊を捜すのに見つからない。

皆どうして泣いてる?


湊はどこにいる?


私はどうしてここにいる……?



歩き回る私の腕を誰かが掴む。

振り返ると、康介が立っていた。
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