二人の秘密
サヨナラの果てに
綺麗な夕日が私の顔を照らす。
校門を寒そうに歩いて行く人。
彼氏と笑いながら帰って行く人。
友達とふざけながら帰る人。
きっと皆がいろんな悩みを抱えて、でも幸せに生きているんだろう。
うらやましい。
私は何をしたって幸せにはなれないのに。
どうしたって、恋はできないのに。
「涼ちゃん………」
私は一人、教室の窓から外を見つめながら涙を流す。
あんなにずっと続くと信じていたのに。
こんなに呆気なく終わりを迎えた。
何がいけなかったかな。
私達には何が足りなかったのかな…
分からないよ。
何も分からない。
私はただ漠然と沈んでゆく夕日を見つめていた。
「あ」
そんな声が聞こえて私は涙を急いで拭う。
後ろを振り向くと今朝会った男の子が立っていた。
「あ……ぇとッ…」
名前。名前何だっけ??
私は朝のホームルームに参加しなかったため、このこが誰なのか分からなかった。
「吉田龍(よしだ りゅう)」
「え…あ、龍君か」
素っ気なくでも冷たい訳ではなく、不思議な子だった。
「何で泣いてんの……?」
―ドクン
あまりにも急で、私の心臓は大きく揺れる。
「泣いてないよ」
無理に笑って私は俯く。
―ポタ
私の手に温かい何かが落ちた。