二人の秘密
学校に着くと先生用の門から黒い車が入って来るのが見えた。
―ドクン
私は早くなる心臓を押さえるようにして足早に玄関へ向かった。
どうして…………
私はこんなに………
真っ暗なの……?
誰か助けて…
お願いだから、
私に光を下さい………。
「……山下?」
私を呼んだ方に振り向くと龍君が心配そうな様子で私を見ていた。
「大丈夫か?」
ぶっきらぼうなその言葉にはどこか、優しさがある。
「ありがとう。大丈夫だよ」
私は作った笑顔で笑いかけると歩き出す。
瞬間、私の目に向こう側から歩いてくる涼ちゃんが見えた。
―ドクンドクン
一気に早くなる鼓動に私は動けなくなる。
涼ちゃんは窓を見ていてまだ私には気付いていない。
頭が真っ白になって何を考えているのかもよく分からない。
いや、何も考えられなかったのかもしれない。
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