二人の秘密




「ありがと…ありがとう…」

感謝しても仕切れないよ。

でもどうして………


「どうしてこんなに優しくしてくれるの………?」

ずっと聞きたくて聞きたくて仕方なかった。

どうして会ったばかりなのに……こんなに優しくしてくれるんだろうって。



「あんたが……」


龍君が少し顔を歪ませたのが分かる。



一度俯いたかと思ったら視線を持ち上げて私を真っすぐに見つめた。



「あんたが……矢神と別れたの知ってたから……」


「え…………」


それはつまり。


私と涼ちゃんが付き合っていたのを……知っていたって事…?

どうして………?


「見るつもりはなかったんだ。だけどあんたの家の前で会ってるの見て」


待ってよ……

話しが分からない。

話しが頭に入って来ないよ。


「ごめん……」


少し俯いて、申し訳なさそうな顔をした龍君に、私は胸が締め付けられる。
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