二人の秘密
「ごめん…………」
私は一言そう呟くとかばんを持って教室を出た。
私はどうすればいいの。
分からない。分からない。
「山下…!?」
―ドクン
聞き慣れた低く透き通った声が私を引き止める。
何で動かないの?
動いてよ――――
「早退か…………ッて…何で泣いてんだよ………」
久しぶりに近くで聞いたような気持ちだった。
まだ二日目なのにね。
「体調が悪いので帰ります」
涼ちゃん……………
好き、好き、好き……
涼ちゃんがどうしたって好きだよ。
涼ちゃん以外を好きになるなんて有り得ない。
なのにもう…………
私は生徒。貴方は先生。
もう戻れないね………
先生…………………
大好きだよ…………
私は伝わるようにしっかり涼ちゃんの目を見つめた。
「失礼します……」
歩き出そうとした時。
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