二人の秘密
知っていたら、きっと今みたいな事にはならなかったかな。
こんなに、涙を流さなくても良かったかな。
『莉子』
百合の声。
大好きな大好きな、私の親友。
なのに、傷つけた。
1番の友達なのに。
私は逃げたんだ。
百合が怒って当然。
だって、あんなに傷つけたんだから。
もう、終わっちゃうのかな。
私は大切な友達を失うのかな。
百合………………
「りッ莉子ーーー!!!!!!!」
―――――――え?
今、百合の声が確かに聞こえた。
私はゆっくり後ろを振り向く。
「ッ莉子…………」
泣きながら、私に抱き着いた百合は涙声で、
「ごめんね………」
そう言ったんだ。
「あたしッ莉子を1番理解してるって……思ってたのッうぅ……だけど、私の知らない事ばっかりで…」
百合。
百合。
もう……………
「悲しかった、寂しかったの……………ッごめんね。
莉子を失う方がよっぽど辛いのにッッ…………」
もう………いいよ……
「ありがとう」
もう分かったよ。
もう充分だよ。
「百合が………大好きだよ」
私は百合の背中に手を回し、涙を流した。
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