二人の秘密



初めて会った時と、同じ。

切なくなるほど、悲しい笑顔。



「おはよう…ございます…」

私はしどろもどろに言う。


「お前今日、補習な?」

ほッ
「補習うぅう?!」


私は廊下に響く馬鹿でかい声で叫んでしまった。


「うるせ!!!補習だッ!!!!」


あ………あれ?


「嫌ー!!!!!」


「嫌じゃねー!!!!文句を言うな!!!」


あれ………?
なんか…涼ちゃんの表情が…………

「なんでうちなのー!?」


「お前が馬鹿だから」

「馬鹿じゃない!!!!」

今、一瞬…………


「ははッ必死だなー!!!!」


―――ドクン


笑っ………………た…


表情を隠すような笑顔じゃなくて。


悲しい笑顔じゃなくて。


心から笑った…………
そんな笑顔。


私だけに、見せてくれるような………


胸がぐっと締め付けられる。











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