二人の秘密


涙が一気に滲んで
涼ちゃんが霞んでいく。


嘘じゃないよね???



「泣くな泣くな」

「ばかぁ……ひくッ」


零れ出した涙は止まらなくて、泣きたく無いのに涙だけ零れて………



あんなに辛かった心が今はこんなに満たされてる。

不思議だね。

私の中心は涼ちゃん。
涼ちゃん次第で私の全てが決まる。


そんなのおかしいと言う人も、いるかもしれない。

けど………


もうそんなのはどうでもいい。


貴方がいればそれだけでいい。

「莉子…??」


俯く私の髪を撫で、優しい口調で私に話しかける。

近くに来たせいで、ふんわり香る貴方の匂いにいちいちドキドキして。


「ごめんな?辛い思いさせて………」


そう呟いた涼ちゃんは酷く切なげな声だった。



俯いているため表情は見えないけれど、不思議な事に想像はできた。



きっと、見たら泣いてしまうぐらい悲しい顔。



「莉子………」


そう呼ばれ重なった互いの手。

握った手から伝わるのは溢れんばかりの愛。


そして、

「もう一度…俺の彼女になってくれませんか………?」


絶え間無く私に降り注ぐ幸せ。













.
< 165 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop