二人の秘密



瞬間交わった視線に私は
持っていたシャーペンを 落としてしまった。

だって……
あんなのずるい。
あんな真っすぐに見つめられたら
誰だってこうなる。
誰だって……好きになる。


私は落としたシャーペンを 拾うと
涼ちゃんをなるべく見ないように、
赤い顔を隠すように、
視線をプリントへ写した。



何とか時間内にやり遂げた私は緊張した
面持ちで静かに席を立つ。


ぽつりぽつりと
立つ人はいるものの
さっきといい、今といい 緊張は解けない。

このまま死ぬんじゃないかと
心配になりながらも
目をつむりながら
歩き始めたその時。


「きゃっ!!!!」

私は机の角につまづき見事に 転ぶ。

「……何してんだ……?」

上からそんな冷たい声を浴びせるのは
他の誰でもない
涼ちゃんだ。
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