二人の秘密
その瞬間静かだった
教室が笑いに包まれる。
「どんまい。莉子!!」
「ナイスドジ!」
等と、一気に注目の的。
「うぅ……」
私は半ベソをかきながら
立ち上がろうとすると
「ほら。ドジな山下さん。」
と意地悪く笑いながら手を差し出す涼ちゃんが
いた。
「あ……う……あ ありがとう…ございます…」
恥ずかしさと嬉しさ。
両方が入り交じり複雑な
心境だが
私は素直に
涼ちゃんの手に私の手を重ねた。
初めて触れた涼ちゃんの手は温かくて……それでいて
大きくて。
「もう転ぶなよ」
そんな嫌味さえ、
今は愛しくてたまらないのだから。
仕方がない。
『恋愛に立場なんて関係ないよ。』
百合の言葉に少し勇気を貰った5時間目。
私はこれから待ち受けているであろう
前途多難なこの恋を
思いきり楽しもうと
涼ちゃんの大きな背中に 誓った。