二人の秘密


入ってきたのは……
私と同じ目をした男の人。

見た途端そう感じた。 何故だか分からない。分からないのに目を反らせない。みんなの叫び声も耳に入らない。

「ええ、今日から本部先生に代わってこのクラスを受け持つことになった、矢神涼だ。本部先生が退院するまでの短い期間だがよろしく。」




伏し目がちで低く透き通る声。
その表情から感情は読み取れないほどの冷徹さ。

「ね?カッコイイでしょ?」後ろを向いた百合は小さい声で私に言う。
「そ……だね。」

私は先生から目を反らすと今までにない感情に戸惑う。

「涼ちゃんッて呼んでイイですかーッ!?」

クラスの中でも一番うるさい西野が言う。

「俺はお前の友達かッッ!!」 冷静なツッコミにクラス中が笑いに包まれる。そのなかでも私は笑えずにいた。あんなに冷たそうな雰囲気なのに…………


何コレ………。心臓が
うるさい………。
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