二人の秘密
「また明日な?莉子」
ほら。
涼ちゃんのたった一言。たった一つの行動で私はこんなに掻き乱される。
「は………い」
真っ赤になる私に「タコみたい」そう言って笑う涼ちゃん。
そんなあどけない笑顔に
私は激しく高鳴る心臓を 押さえた。
「じゃあな」
最後は優しく私に微笑み帰っていってしまった。
そんな涼ちゃんの車を眺めながら、
「ずるいよ………」
私はしゃがみ込んだ。
あの頃の私は
好きがこんなに愛しいものだなんて……知らなかったんだ。
そして、好きがあんなに切なくて苦しいものだなんて
本当に 知らずにいた。