二人の秘密



「その先生が莉子のこと、どう思ってるかなんて。そんなの、先生本人にしか分からない」
「………」
「だったらマイナスに考えるよりプラスに考えた方が得じゃない?」


ニヒってはにかむ志緒姉に また涙が溢れそうになる。
だって、いつだって志緒姉は私に答えをくれる。
私を答えに導いてくれる。


「あたしもねー、塾の先生を好きになってさ、付き合ってた時期があったのね」
「えッ!!!!」


ずっと康介にしか興味が無かったのかと思ってた。
「その人もね、優しい人だったんだよ。……でもね、やっぱり私は康介が好きだし、その人を代わりにしたらイケないって思った。」

遠くを見ながら話す志緒姉は、とても綺麗で。やっぱり志緒姉には敵わないと感じた。


「だからふっちゃった!傷つけても、代えられない人だったから。康介だけは、さ」

と照れながら話す志緒姉に、とても憧れた。そんなに強く思ってる人と結ばれた志緒姉が羨ましかった。
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