二人の秘密
「もしもし……」
『はよ。早いね』
涼ちゃんの言葉が一つ一つ私の胸に響く。
「うん。」
『二階』
二階……………?
私は下にあった目線を少しずつ上げる。
すると 二階の生徒指導室からひらひらと手を振る涼ちゃんが見えた。
「何してんの!?」
『おいで。』
それだけ言うと電話は切れてしまい、窓から私を手招きした。
私は勢いよく走りだし、涙を堪えた。
無くなるなんて悲しくて。
声も仕草も表情も。
消えてしまうなんて、虚しすぎて。
涙が溜まった。
涼ちゃん………。
生徒指導室の前まで来て急に不安になる。
私が壊すのかもしれない。
自分でこの関係を無くすのかもしれない。
そんなの嫌なのに。
なかなか中に入れずにいると急にドアが開く。
「いるなら入れよ…」
不思議そうに見下ろす涼ちゃんを見上げる。
高いな…………。
今でさえこんなに距離があるのに。
この関係さえ無くなったら…………。
私達は……どうなるの?