二人の秘密
車がゆっくり走り出す。
気まずい空気が二人を包んだ。
「もう大丈夫なのか?」
先に口を開いたのは涼ちゃんだった。
「あ…………」
私はあまりに急だったので言葉が出てこなかった。
またあの息苦しさに襲われる。
「莉子?」
私を莉子と呼んだ涼ちゃんを見つめる。
「大丈夫…………です。」
私はすぐに目線を逸らすとそのまま窓に移した。
「そうか…」
それっきり二人の間で会話を交わす事はなかった。
途中、街に入った時。
街全体がイルミネーションに彩られていた。
すっかり忘れていたがもうすぐクリスマスだった。
今年は一人だろうな……。
そう考えると涙が溢れた。
私はそれを必死に止めるとただキラキラ輝くイルミネーションを見ていた。