二人の秘密
しばらくして私の家の前で車は停まった。
「ありがとうございました」
私は小さくそれだけ言うと車のドアを開ける。
「莉子」
そのまま出ようとした私の腕を弱々しく涼ちゃんは掴んだ。
涼ちゃんが触れた所が一気に熱を帯びる。
「嫌なら振りほどいてもらって構わない」
ずるいよ…………。
そんな事出来る訳無いじゃない。
こんなに溢れるんだから。
貴方への好きが。
「先生離して………」
私は震える声でそう呟く。
駄目だよ。駄目。
溢れる前に、離れなきゃ。
「嫌だ」
「せッんせ…!!!!」
「離さない」
背を向けているから、表情は分からないけど。
今あの真っすぐな瞳に見つめられたら決心が揺らいだに違いない。
涼ちゃんは今どんな顔してるの?
何を思ってるの……………?