二人の秘密



「俺はお前と志緒を重ねた事は一度もないよ」


優しくあやすように話しかける涼ちゃんに涙を止める事なんてできやしなかった。


「また 泣かせたな。ごめんな…………」

握られていた腕が自由になる。なのに優しく撫でられている頭が心地良くて堪らない。

「泣かせたい訳じゃないんだ。…………ごめん」



離れたくない。
好きが溢れる。
愛しさが溢れる。

「ずっと……あの場所で待ってるから」

それだけ言うと私の頭に優しくキスを落とした。


それからはあまり覚えていない。

ただ車を出て家に入り大泣きしたこと。

それしか覚えていなかった。

目を開けた時には深夜だった。
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