二人の秘密



佐藤先生もそう言ってた…………。


でも話したくなる時が来る??

笑い話に出来る日が私には来るの??



そう考えると百合の言葉も佐藤先生の言葉も素直に喜ぶ事なんて出来なかった。


「ごめん心配かけて……大丈夫だから」

でも。
百合の気持ちも佐藤先生の気持ちも。

ちゃんと伝わっているのは確かで。
ちゃんと受け止められてるのも確かだったから。

せめて少しでも心配はかけまいと明るく笑った。



涼ちゃんが居なくても世界は回る。

涼ちゃんが居なくても今は一秒一秒過ぎていく。


私の中で止まってしまっただけ。

私の心の中で壊れてしまっただけだった。


「寒いーッ!!!!」


駅の階段を下りて外に出ると私達を冷たい風が包んだ。

私は首元にあったマフラーを急いで鼻の辺りまでに上げた。


ほんのわずかな温もりが私の鼻を掠めた。


私は冷たい風を全身で感じると震え上がり………。


その繰り返しをしていた。
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